多くの人が、過去に誰かに傷つけられた経験を持っている。それと同様、誰かを傷つけた経験も持っている。たとえその時は傷つけている自覚がなかったとしても、その「誰か」は今でもその傷に苦しんでいるかもしれない。
時代によって価値観や善悪の観念が移り変わっていくなかで、私たちは「過去の無自覚な加害」にどれだけ自覚的でいられるのだろうか。そして、「加害を行っていた自分」とどう向き合っていけばいいのだろうか。
カツセマサヒコさんの新刊『ブルーマリッジ』(新潮社刊)は、部下の告発から人生が瓦解していく土方剛と、ある出来事によって婚約者との幸せなはずの日常に暗雲が垂れ込める雨宮守の人生を通して多くのことを問いかける物語だ。
今回はカツセさんにインタビュー。この物語がどのように構想され、書き上げられていったのかをうかがった。その後編をお届けする。
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