物事を正しく読み解くための方法
ファクトフルネスとは「データや事実にもとづき、世界を読み解く習慣」のこと。人がとらわれる10の思い込みを解説しながら、物事を正しく読み解くための方法を紹介している一冊。
■分断本能
人は、実際には分断がないのに分断があると思い込んだり、違いがないのに違いがあると思い込んだり、対立がないのに対立があると思い込んでしまう。分断を誇張し、分断本能を刺激するような話を見分けるには3つのポイントに注意する。
①平均の比較
分布を調べると、2つのグループに重なりがあり、分断などないことが多い。
②極端な数字の比較
人や国のグループには必ず、最上位層と最下位層が存在する。2つの差が残酷なほど不公平な時もある。しかし多くの場合、大半の人や国はその中間の、上でも下でもないところにいる。
③上からの景色
高いところから低いところを正確に見るのは難しい。どれも同じくらい低く見えるけれど、実際は違う。
私たちはみな、ドラマチックな10種類の本能を持っている。
①分断本能:話の中の「分断」を示す言葉に気づくこと
→大半の人がどこにいるかを探す
②ネガティブ本能:ネガティブなニュースに気づくこと
→悪いニュースの方が広まりやすいと覚えておく
③直線本能:グラフはまっすぐになるだろうという思いこみに気づくこと
→直線もいつかは曲がることを知る
④恐怖本能:恐ろしいものには、自然と目がいってしまうことに気づくこと
→リスクを計算する
⑤過大視本能:ただ1つの数字が、とても重要であるかのように勘違いしてしまうことに気づくこと
→数字を比較する
⑥パターン化本能:1つの集団のパターンを根拠に物事が説明されていたら、それに気づくこと
→分類を疑う
⑦宿命本能:色々なものが変わらないように見えるのは、変化がゆっくりと少しずつ起きているからだと気づくこと
→ゆっくりとした変化でも変化していることを心に留める
⑧単純化本能:1つの視点だけでは世界を理解できないと知ること
→1つの知識がすべてに応用できないことを覚えておく
⑨犯人捜し本能:誰かが見せしめとばかりに責められていたら、それに気づくこと
→誰かを責めても問題は解決しないと肝に銘じる
⑩焦り本能:今すぐに決めなければならないと感じたら、自分の焦りに気づくこと
→小さな一歩を重ねる
1975年生まれ。ギャップマインダー 共同創立者 ルンド大学で社会学を学び、ヨーテボリ大学で写真を学んだ。ギャップマインダーの共同創立者であり、バイス・プレジデントを務めている。 講演者であり、ギャップマインダーの利用者担当リーダーでもある。また、ギャップマインダーのグラフィックやスライドを作成し、動くバブルチャートのユーザーインターフェースも設計した。2007年にトレンダライザーがグーグルに買収されたあと、グーグルでシニア・ユーザビリティデザイナーを務めた。 2010年にギャップマインダーに戻り、新しい無料の教育ツールを開発している。ギャップマインダーでの功績が認められ数々の賞を受けている。 2017年にレジメ・スーパーコミュニケーター賞、金の卵賞、またファスト・カンパニー誌の世界を変えるアイデア賞を受章した。
著者 オーラ・ロスリング1975年生まれ。ギャップマインダー財団 共同創立者 2005年から2007年までと、2010年から現在まで財団のディレクターを務めている。ギャップマインダーのチンパンジクイズを開発し、知識不足を体系的に測定するプロジェクトやその認証プロセスを開発した。 データを分析し、ハンスが行うTEDトークや講演の資料をつくってきた。1999年からは「トレンダライザー」として有名になった動くバブルチャートによるツールを開発してきた。2007年にグーグルがトレンダライザーを買収し、2007年から2010年までグーグルのパブリックデータ・チームのリーダーを務めた。その後、ギャップマインダーに戻り、新たな無料教育ツールを開発している。
著者 ハンス・ロスリング1948年生まれ。カロリンスカ医科大学 グローバルヘルス 元教授 スウェーデン・ウプサラ大学で統計学と医学を学び、インドのバンガロールにある聖ヨハネ医科大学で公衆衛生を学んだあと、1976年に医師になった。1979年から1981年まではモザンビークのナカラで地域担当の医師として働き、それまで知られていなかった神経が麻痺する病気「コンゾ」を発見。この病気の調査と研究によって1986年にウプサラ大学から博士号を取得。 1997年からはストックホルムにあるカロリンスカ医科大学でグローバルヘルスの教授を務めた。専門は、経済発展と農業と貧困と健康のつながりについての研究。カロリンスカ医科大学で新しい授業科目を開講し、提携研究を立ち上げ、グローバルヘルスについての教科書を共著した。 2005年には、息子のオーラとその妻のアンナと共にギャップマインダー財団を設立。スウェーデン科学学会の国際分科会メンバーであり、スイスの世界経済フォーラムのグローバル・アジェンダ・ネットワークにも所属していた。 2009年にはフォーリン・ポリシー誌からグローバル思想家100人のひとりに選ばれ、2011年にはファスト・カンパニー誌から世界で最もクリエイティブな100人のひとりに選ばれた。また2012にはタイム誌が選ぶ世界で最も影響力の大きな100人のひとりになった。2017年他界。
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