(この記事は、書評でつながる読書コミュニティ「本が好き!」レビュアーのかもめ通信さんによる書評です。
象は、大勢に拍手され、見物され、あっという間に忘れられるんです。
それが人生というものです。
ノーベル賞作家サラマーゴが最晩年に遺した、史実に基づく愛と皮肉なユーモアに満ちた傑作。
1551年、ポルトガル国王はオーストリア大公の婚儀への祝いとして象を贈ることを決める。象遣いのスブッロは、重大な任務を受け象のソロモンの肩に乗ってリスボンを出発する。
嵐の地中海を渡り、冬のアルプスを越え、行く先々で出会う人々に驚きを与えながら、彼らはウィーンまでひたすら歩く。
時おり作家自身も顔をのぞかせて語られる、波乱万丈で壮大な旅。
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